1999
年
5
月
22
日
結構、寒い
(スタートまで)
うう、”サイクリング”じゃない
(スタート→笹子峠(第1チェックポイント))
この辺はいつか来たとこ・・・
(笹子峠→韮崎(第2チェックポイント))
峠のパンターニ!何とかなりそう
(韮崎→塩尻峠(第3チェックポイント))
気分はツール・・・でも、チェックポイントが・・・
(塩尻峠→大町(第4チェックポイント))
お〜い、安江くん??朝刊記事が眼に浮かぶ・・・
(大町→ゴール)
18年ぶりの国富温泉の夜は更けて
参加賞(完走賞?)
結構、寒い
(スタートまで=1999年5月22日0時〜4時30分)
ヌ
この部分の写真と客観的様子は
[こちら]
をお読みください。
というわけで、サポートしてくれる安江くんはとりあえず運転できる(?)ようだし、レンタカーも借りてきたし・・・で、ライト
(はちょっと問題だったけど)
や着替えを準備し終わったのが1時くらい。1時間ほど横になった
(
前夜の睡眠はさほどパフォーマンスに影響しない
と過去の知識を自分に言い聞かせ
)
後、2時過ぎに家を出て、スタート地点である高尾山口へ向かう。到着後、
サインボード
に署名した後はすることもないので、コンビニで買ったおにぎりを2つとウイダー・イン・ゼリー
(以下、ゼリー;
これって、
マルトデキストリン
なんだよね
)
を食べる。自転車のボトルには、最近気に入ってる”炭酸抜きペプシ+アクエリアス”(
給水はあくまでスペア
なので好きな飲料が一番です、ちなみに
ペプシマン・グッズ
を集めている私
)。ウエアを着替えているうちに、長袖とウインドブレーカーを忘れたのに気付く・・・
ま、いっか、暑くなるって予報だし
・・・と例によってお気楽に考えるものの、やっぱり寒いので、安江くんのトレーナーを借りる。いやあ、
サポーターが来てくれて、ヨカッタ、ヨカッタ v(^_^)v
まあ「300km」もあるし、前半はのんびり行くつもりなのでウオーミング・アップをすることもなく、
安江サポーター
と打ち合わせ。といっても、無理に来てもらった
ペーパードライバー
にあまり細かい注文をしても悪いので、
”大町くらいには
(伴走の体制に)
来てくれよな
(着替えもクルマに入れてるし)
。まあ、最悪、ゴールで待っててくれてもいいけど・・・”
くらいしか言うことがない。一応、携帯電話とゼリー2個をヒップ・バッグに入れて、スタート地点へ向かう。
おお、
ホントに糸魚川まで
行くのか
・・・
うう、”サイクリング”じゃない
(スタート→笹子峠(第1CP))(4時30分〜7時03分)
初めて走るというマリア・ローザ色のジャージを着た中年おじさん(ま、僕ぐらいの年齢か)と雑談しながらスタートを待つ。お、このおじさんの自転車のフレームは僕のと同じ
ZUNOW
だ。他の人が乗ってるのを初めて見たなあ。
号砲が鳴るわけでもなく、信号が「
青
」にかわったところで、
スタート
!
4時から10分毎にスタートが切られているが、この「4時30分」は30人くらいはいそうだけど、もちろん誰も知らない(左の写真、手前が僕です)。
いきなり
大垂水峠
をクリアして、トンネルの手前の
笹子峠
まで登らなければならない区間だけど、何といっても
完走
が目的だから、ここはのんびりとウオーミング・アップ代わりに走るつもりだった。
が、
がしかし、
甘かった
!
走り出したみんなの速いこと、速いこと!ロードレーサー特有の音を立てながら、100回転/分前後の高い回転数
(慣れないと目まぐるしくすら感じる)
でクルクル回しながら、どんどんいくのである。マリア・ローザおじさんはとっくに見えなくなってしまった。スタートしたばかりだし、おまけにここは
登り
、いつもこんなに速いスピードでは走ったことがないのに・・・(ほとんど、絶句)
ヒエーッ、
まだあと290km 以上ある
(当たり前だ)のにと焦りまくり、早くも(早すぎるけど)参加したことを後悔しかかったとき、あるひとつの notion に気が付く。
”そうか、これは
サイクリングじゃない
んだ、ファスト・ランなんだ!ふむふむ”
と、ここにしてようやく大会名称の意味を理解したわけだ。まあ、情けないといえば、情けない。
そこで早速(というか、ようやく)あたまを切り替え、無理のない程度に脚を合わせて付き始めると、あら不思議。
登り坂で僕に抜かれる人が出始め
るではあ〜りませんか!
遅れ気味の人を後ろから観察すると、どうも重めのギアを無理して踏んでいるような気配。”過去の知識”を想い出すと、大腿筋の組成にもよるけど、基本的には軽めのギアを回していく方が筋グリコーゲンの消費は節約されるはずだと思うのだけれど、
自転車乗りには見栄がある
のか、でもあとで苦労するよと他人事ながら心配する余裕が出てきた頃には頂上を越え、一気にダウンヒルで相模湖へ下りていく。
と、
皆さん、速いんです
ねえ、この
下り
が!ブレーキはかけないし、ペダルもくるくる回してビュンビュン下っていくのに圧倒されているうちに、独り旅が始まり、登りで誰かに追いつき、下りで離され・・・やや、登りがきつくなってきたのでメーターを見ると、そろそろ
笹子峠
に入るあたり。先は長いし、一息入れようと停止し、草むらで小用を足し、ゼリーを1個流し込む。その間にも、かなりの高速でどんどん登っていく人も、すでに限界に近いような人も、いろんな人が通り過ぎていく。
幸いなことに、
大垂水峠
での思わぬ観察で登り坂に対する恐怖心が少し解消されていたのを頼りに、ゆっくり登り始めることにする。と、明らかにレベルが上の人はともかく、同じような人には抜くことはあっても離されることはなく、坂ヘタの劣等感が解消されるようで何だかうれしい。ほんの少しだけ快感を覚えながら登っていくと、かなりきつくなってきた辺りで左手にチェックポイントが見える。
ちょうど7時くらい
に到着。まあまあ、いい感じ。
恐怖の笹子トンネル
に突入する前に、ちょっとリラックスしようと、自転車を降りて給水とバナナを食し、1本はポケットに・・・
さて、こうやって
笹子峠
に着く頃、
わがサポート・カー
がどこを走っていたのか僕は考える余裕が全くなかったので、サポート情報は
[こちら]
をご覧ください。どうも、
ようやく走り出した
頃だったらしい・・・
この辺はいつか来たとこ・・・
(笹子峠→韮崎(第2CP))(7時30分くらい〜9時11分)
あまり休憩していて交通量が増えてきてはイヤなので、気を取り直してヘルメットを被り、ライトを点灯して、
恐怖の笹子トンネル
に突入する。反対側からクルマで通ったことはあったけど、自転車ではもちろん初めてだ。暗いし、路面が荒れているうえに空気は汚い。何より、トラックなどの大型車が接近してくると光が攪乱し、不気味な音が反響し、下手すると吹き飛ばされそうなくらいの風が起こる。恐ろしい。早く終われと、ハンドルをしっかり握り、ひたすらペダルを踏む。暗闇での苦闘の末に前方から外の光が見えてきたときの喜びは、言葉にならないほど、かなりうれしい。が、他の人は休む間もなく、甲府へと一気に下る峠の下りをさらにペダルを踏んで駆け下りて行く。
のんびり行きたい気分が強いので、
朝ご飯
を食べようと、道路脇のコンビニで停止し、おにぎりとゼリーを食べ、飲料を補給する。先はいやになるほど長いのだから、急ぐ必要は全然ない。
一番怖いのは、エネルギー源の枯渇
だから、計算通りに約30〜40kmおきに食べていくつもり。この点は自転車とランニング(マラソン)の大きな違いだ。マラソンでは食べながら(補給しながら)走り続けるのは、まず無理だ。心拍数から推察するに、僕のこの感じは50%Vo2max くらいだろう。(※完走後、
きつさの等式:ランニングの距離×10=自転車の距離
を発見!!←いや、あくまで僕の場合ですけど、もちろん)
コンビニでお客さんから、何かの大会かと聞かれる。レースと言うには、こうやってコンビニで勝手に買い食い休憩してる人もいるから理解しにくいかもしれん。
”え〜と、まあ、それぞれがそれぞれに糸魚川まで走るって大会です”
と答えたけど、分かってくれたかな?
再び走り始めると、ちょうどいいペースの連中が来たので、後ろに付かせてもらう。いつも独りで走っているので実感したことがなかったが、他人
(ひと)
の後ろで走るのはとても楽だ。いわゆる
ドラフティング走行
!空気抵抗の影響がいかに大きいかってことですね。だから、後ろに付かれると、とてもきつい
(心理的にも)
。甲府を抜けた辺りからしばらく付かれたので、ちょっとイヤになってトイレを借りにガソリンスタンドにコースアウト
(すいません、初心者なもので)
。
ついでにバナナを食べてまたのんびり走っていくと、釜無川沿いに開けてきて、韮崎へ。穴山橋を渡ったところが、第2チェックポイント。この辺りはキャンプに来たことが2度ほどあり、穴山橋近辺もかすかに覚えていた。確か、
神代桜
という有名な桜の巨木や
精進ヶ滝
、
フォッサマグナの展望台
なども近くにあったはず。9時過ぎに到着。
105、6km
終了。日射しが出て、かなり暑くなってきた。おにぎり、バナナ、水分補給をする。なぜか、
おいなりさん
がたくさん出されているけど、ちょっと運動中に食べたことがないので手を出せず。腹持ちがいいんでしょうか???休憩している人たちがあまり動かないので、それにつられて結構長く休む。
この時間帯に
わがサポート・カー
がどこを走っていたのか、僕は申し訳ないけどほとんど考えていなかったので、サポート情報は
[こちら]
をご覧ください。多分、第1チェックポイントあたりだったらしい・・・この後、
コース中で一番きつい
富士見峠
と
塩尻峠
のある
峠ステージ
に挑むことで頭がいっぱいだった僕は、
わがサポート・カー
がこの第2チェックポイントから
神代桜
、
精進ヶ滝
の見物
に寄り道をしていくとは、このとき想像すらできなかった・・・
峠のパンターニ!何とかなりそう
(韮崎→塩尻峠(第3CP))(9時30分くらい〜12時16分)
ここは韮崎からダラダラと
富士見峠
まで登り続け、一旦諏訪の町へ少し下った後、このコースでもっとも標高の高い
塩尻峠
(約1000m)の頂上の手前まで登る、
一番きつい
と予想される区間。ここさえクリアできれば、この先大きな峠はないし、距離的にも半分以上が終わるわけだから、何とかいけるだろうという計算をしていた。
韮崎から
富士見峠
まではもちろん下りもあるけど、気分的には
ずーっと登っている感じ
がする。途中、某社のウイスキーで有名な白州を通過するけど、飲みたいとはこれっぽっちも思わず。当たり前か。登りが徐々にきつさを増し、道が曲がり始めたので、ここらが
富士見峠
あたりだろうと少し頑張ることにする。
見栄
など
最初からない
ので、一定の回転数を保つべく、きつくなる毎にギアを軽くしていき、一番軽いギアまでいってしまう頃に、つづら折りが。上からは峠で苦闘する選手たちが一望できるし、登りでスピードが遅いからかなり長時間観戦できるので、絶好の応援ポイントかもとまだ元気なあたまで考えながら登っていくと、
一番きつい
あたりにはちゃんといるんですよ、
サポート・カー
が。どこのチームの選手にでも、紙コップに氷の入った麦茶(?)を手渡してくれ、声援してくれる。一口飲んで、残りは首筋にかける。
ああ、生き返る
なあ。かのツール・ド・フランスの山岳の名所、
ラルプデュエズ
あたりもこんな感じなのかなと(いや、もちろん、全然難度が違うんですけどね)、
気分だけは
パンターニ
になったつもりで残りの坂を元気に登る。しかし、
わがサポート・カー
は一体どこに???
富士見峠
の下りにかかったあたりでも別の
サポート・カー
が給食と給水をサービスしてくれていたので、下りをのんびりいきたい僕としては迷わず立ち止まり、飲料とバナナをもらって少し話をする。昨年、終盤で低血糖に陥ったという選手ものんびり食べていたので、この
”食い続け作戦”
が間違っていないのを確信する。何たって、俺は
”元専門家”
なのである。ヘッヘッヘ。しかし、それにしても、
わがサポート・カー
は一体どこに???
まあ、考えてもどうなるものでもないので、諏訪へ下っていく。諏訪は大きな町なので交通量が増え、道も狭いので、あまり楽しくない。楽しくないときは休む(食べる)に限ると、市内で
コンビニ
に入り、
お昼ご飯
におにぎりとゼリーを食べ、飲料を入れ替える。
再び、気を取り直してコースに戻り、
塩尻峠
へ。徐々に標高が高くなり、左下に諏訪湖が見えてきて、岡谷インターを越えた辺りからかなり斜度がついてくるものの、これまで3つの峠をクリアできたことでそんなに”坂がヘタ”というわけでもないことが分かっていたし、それに何より、どの峠も10日ほど前に
”ショック療法”
を施してくれた
奥多摩周遊道路より
楽
なのだから、この
”峠対策用ギア”
なら登れるわいと進むうちに、左手に第3チェックポイント。12時過ぎに到着ってことは、予定より30分くらいも早い!脚もあたまも大丈夫そうだから、これなら
何とか完走できるかも
・・・という期待があたまを擡げてきたので、飲料とおにぎり、バナナを食して、少し早めにスタートすることに。
さて、この
一番きつい
峠ステージ、この区間を僕が
ヒーコラ
走っている頃、
わがサポート・カー
は、な、なんと!
神代桜
を見物していたらしい・・・ちなみに、
神代桜
は
第2
チェックポイントの近く
(詳細は
こちら
)
気分はツール・・・でも、チェックポイントが・・・
(塩尻峠→大町(第4CP))(12時40分くらい〜15時08分)
第3チェックポイントをスタートして一旦峠の頂上まで少し登った後は、塩尻インター近くの高出の交差点まで一気に下る。いやあ、景色はいいし、気持ちがいい。僕でも時速70km弱のスピードが出ているから、普通の選手は80km/時くらいで走っているのかもしれない。
大きな峠はもうないし(と思っていた)、この区間は比較的平坦、おまけに高出から大町までほとんど北上するコースには
”南風”
が後ろから押してくれていたようだ(やけに調子いいなあと思っていたけど、あとで聞いたら
”風の力”
だった)。
うまい具合に、高出の交差点で同じチーム・ジャージの3人組が来たので、後ろに付かせてもらう。と、これって、
すごく快調
じゃないですか!先頭の人はハンドルの下を握ってかなり一生懸命走ってるけど、4番目の僕は上を持ったままでときどきペダルを踏まなくても楽に付いていけちゃうのである。それでいて、スピードは時速30km台後半で維持されている。おお、そうか、これが
”チーム走行”
ってやつですね。さしずめ、
僕は”エース”
の位置
で走っているわけで、ショーウインドウに映る我が姿を見ながら、
気分はツール
でございました。
峠を越え、距離も半分以上クリアしたので、もうあまりセーブしなくても大丈夫と思って付いていったわけだが、そうそうエネルギーが残っているはずはないから無茶は慎めと冷静な
”元専門家”
はあたまの片方で考え、もう一方ではずっと続く糸魚川街道に飽きが来始めていた。ということは、別の言葉でいうと、集中力が切れかけていたわけで、おそらく血糖値が下がってきてたのだろう、ボトルから給水しながら走っているものの、固形物は塩尻峠以来、口にしていなかったし・・・
穂高のあたりは以前知人の別荘に遊びに来たことがあったので、よく覚えていたし、穂高神社のニワトリが木に登っていたことなどを想い出しもしたのだけれど、ちょっと気力が萎え次の松川村近辺の何でもない道端で停止して、
”エース”
役はおしまい。ホントのエースなら、異常を察してアシストが下がってきてくれるはずだが、当然そんなことはあるわけもなく、みんなはさっさと行ってしまったのでありました。ああ、無情・・・
そこからは疲れがどっと出てきて、一向に脚が動かなくなる。動き出しはしたものの力が入らないので、自販機を見つけて、また停止。
ソーダアイス
があったらなあ・・・
疲れを急激に感じ始めたのには、実は理由がある。もらった資料には「209km」と記されている
大町の最終チェックポイントが見あたらない
のだ、自転車のメーターは
既に215km 以上
を示しているというのに (T_T)。アタマの中では資料が間違っているんだと思ってみても(実際、間違ってたんだけど)、生理的な疲労がそろそろ限界に近づきつつある身体は、心理的にギリギリの状態に陥りかけていた。おまけに、この辺りは、見た目には大したことないんだけど、ダラダラとした上りがずっと続いていて、真綿で喉をしめられるような感じなのだった、ああ、ツライ・・・
ほとんどサイクリング・モードでメーターが
220km
を越え、それでもチェックポイントに着かない状況のなかで、初めて
”止めようかな”
という想いがアタマをぐるぐる回り始める。1日の走行距離のこれまでの最長記録はとっくに更新しているし、
200km
以上なんて走ったことがない。う〜ん、この感じはゴールまであと2km の最後の給水所にジュースがなくて水だけだったときに
もうイヤだ
と手を挙げて棄権した2回目の防府読売マラソンと同じかもしれない。
お〜い
と
サポート・カー
がやってくるのを期待するが、当たり前だけど、一向にくる気配はなかった。
200km
を越えて
、
生理的にも心理的にもきつい
高速ステージの後半、この区間を僕が
ヘロヘロ
になり止めかかっている頃、
わがサポート・カー
は、
な、なんと!
松本
あたりで
ラーメン
を食べて
昼寝
していたらしい・・・(詳細は
こちら
)。
サポート・カー
はこない
→大町
チェックポイントで待ってるかもしれない
→
ひょっとするとゴールに先に行ってるかもしれない
というわけで、棄権もできず、フラフラと大町チェックポイントに15時過ぎに何とか辿り着く。
サポート・カー
が伴走していれば止めたかもしれないので、
安江くんの
ありがたい配慮
だと思っておこうっと(しかし、そのときは相当ガックリきていた)。
お〜い、安江くん??朝刊記事が眼に浮かぶ・・・
(大町→ゴール)(15時40分くらい〜18時18分)
大町のチェックポイントからゴールまでは約70km。この距離は僕の家(杉並区)からだと奥多摩湖あたりまで、中央高速だと高井戸から大月あたりまでだから結構あるんだけど、ここまでくると
もう少しだ
と思ってしまうのが不思議なところ。
ほとんどの選手はかなり疲れてきていて、多めの休憩を取っている。例に漏れず、シューズを弛めて、ちょっと横になる。白馬までの間にいくつか上る箇所があるけど、大半は下りだから、何とか完走できそうだと思うけど、次には明るいうちに着きたいと願い始めるのが面白いですね。(^_^ゞ
”16時に出れば日があるうちに着くさ”と経験者らしい人が仲間に話しているのを小耳に入れ、それならと
15時40分に
フラフラとスタートする。が、その途端に
北風の洗礼!
いつの間にやら、南風のアシストは終わり、そう簡単にゴールさせるかと北風の出番。
しかし、向かい風も速く走ろうとすると邪魔だけど、遅い身にはそれほど甚大な影響はない、風に対抗してる気がほとんどないもんねえ (-_-;; 。風よりも、
もっと大変なこと
が起こっているのに気が付いたのは、最初のトンネルだった。後方指示用の点滅ライトを点けようと片手で探っても、
ない
のだ。路面が荒れたところを走っているうちに
落としてしまった
らしい。前照灯は点かないとすでに諦めていたけど、後ろも点かないってことは、
トンネルの中で前も後ろも真っ暗
という悲惨な状態だ。
うう、困った、
だけどどうしようもない・・・そうだ、前の人にくっついて走ろうということしか思いつかず、そこから先は
必死で前の選手を追いかけ
ては後ろにくっついてトンネルをクリアするという方法を繰り返すことになるのだった。
木崎湖、青木湖などの仁科三湖の湖面が大分傾いてきた陽光できらきらと輝き、まだ雪をかぶった山々が実にきれいだ。この地点まで風景を楽しめるほどの余裕があるとは、思ってもみなかった。さすがは
”元専門家”
、調整と”食い続け作戦”の成功を実感する。
白馬を過ぎてしばらく行くと、もちろん上っている箇所もあるけど、大半は姫川沿いの道を転がり落ちるように下っていくことになる。これじゃあ、もし
わがサポート・カー
が後ろから追いかけてきているとしても(事実、そうだったようだが)、追いつかないなと、この辺りから
わがサポート・カー
のことがやけに気にかかり始める。ヒップ・バッグすら邪魔に感じだし、何でオイラ
携帯
もって走ってるんだろ???
一度も姿を見ていないし携帯にもかかってこない(切ってたけど)
→ちゃんと走っているのだろうか
→ひょっとしたら
事故
ったか
→はじめの相模湖あたりで
ぶつけた
かも
→
病院に
担ぎ込まれたか・・・・
と、まあ、トンネルの前だけ頑張ってほかの選手にくっつく以外は特に考えることもなかったので、
わがサポート・カー
の悪い状態を想像しては、朝刊の見出しを考えていたりした・・
”ペーパードライバーに過酷な300km!
元
教え子、
元
教師の無謀な依頼を断れず!”
(^_^ゞ
そんなことを考えつつも距離は消化され、おまけにトンネルの中は自分のライトがないので不安ということを除けば、クルマの走行で風の流れができる
”送り風”
という一種ドラフティング状態なので、坂が上っていてもまあまあのスピードで走れることも分かり、結構楽しく進んでいくと「姫川」の看板。
姫川は大学院に入ってすぐの頃(18年前?)、仕事で来たこともあるし、20人ほどのおばあさんたちと露天風呂に入りに来たこともある、懐かしの場所なのだ。あの頃に比べると、道は格段によくなっているし、新しいトンネルが何本も作られて、道(コース)自体が変わっているようだけど、あの露天風呂に入ってみたいなあと感懐を覚えながら、通過する。昔の記憶でも、糸魚川までは、多分、もうそんなに遠くないはず。
フォッサマグナ・パーク(?)を過ぎ、橋を渡ると、もう視界にはほとんど山はなく、平地に下りてきたことが視覚的にもはっきりと分かる。メーターは290km を越えているから、さあラスト・スパートだと踏み込み始める間もなく、正面に蛍光色のジャンパーを着たスタッフが見え、左にカーブしてゴールするよう指示される。よし、これからと思っていたので、
あれっ
という思いもあったが、それよりたどり着けた嬉しさが100倍ほども大きく、思わずガッツ・ポーズをしながら
ゴール!
4時30分に高尾山口をスタートし、
291km
(トンネルができたので短くなった?)
を走破、18時18分糸魚川にゴール!
ゴール後、辺りを見渡してみても安江くんの姿は見あたらず、心配になって一応本部に事故の連絡はないか尋ねに行きましたがそれもなく、仕方がないので
生ビール
を飲みに(オイオイ)。
いやあ、旨かった
ですねえ。のどが渇きすぎていて味はほとんど分からなかったけど、さすがは
サッポロビール!
実に旨かった!からだの中に、シュワシュワシュワと染み込んでいきました。
生ビールを飲みつつ、あまりの嬉しさに、この”偉業”を全国に打電しようと J-Phone でメールを全国のみなさまに打ち終わった頃、
わがサポート・カー
が到着し、安江くんが慌てて走ってきたのでした。
あ、無事だったか。よかった、よかった
(朝刊の見出しはボツ)
と、ホントにホッとしたのであります。
僕がゴールした頃、
寝過ごしたウサギ
ならぬ
わがサポート・カー
が大慌てで追走して、
結局追いつけなかった
様子は笑ってください。
結局、
大町からゴールまでは2時間30分ちょっとで走りましたから、
わがサポート・カー
とほぼ同じだったようで、これでは追いつきっこないですねえ (^_^ゞ
18年ぶりの国富温泉の夜は更けて
というわけで、高尾山口で別れて以来、14、5時間ぶりに
再会
したわれわれは、
お互いの完走
を祝うべく、
温泉
に泊まることにしました。サポート・カーの運転で疲れたであろう安江くんの労をねぎらう意味も込め、また横を通り過ぎたときから18年ぶりに行ってみたいという気持ちもあり、姫川の国富温泉に決定!日本の温泉旅館って、不当に高すぎると常々思っているんですが、まあ今夜はよかろうと思ったわけです。
で、自転車のハンドルをクルマのに持ち替え(僕が運転)、ゴールを目指す選手たちと対向しながら20分ほどバックして着いた国富温泉は、昨年新築されたそうで、18年前の面影は全くなく、おばあちゃんたちと入った露天風呂(手ですくうと葉っぱがいっぱいだった)も跡形もなく、浦島太郎の気分を一瞬だけ味わいましたが、それもまあホンの一瞬だけで、きれいな風呂に入り(体重は3kg ほど減っていた)、愛想のいい仲居さん(どうしてあんなに若い子ばっかり?)に歓待されつつ食事し、きれいな布団であっという間に爆睡したのでありました。
翌日も快晴。朝食後、露天風呂に入る(体重は元の木阿弥)。右手の山には観音像が見える。懐かしいですねえ。確か、あの眼は瑪瑙でできていると、18年前に説明を受けた記憶がある。あのときのトレーナーの彼女もあれから18トシをとったんだろうなあ、お元気であることを祈る・・・
それからは昨日の道を戻ることに。よくこんな坂を走ったものだと思う箇所もいくつかあるけど、人間は大したものだ。途中からコースを外れ、原村から清里へと抜けて中央高速で東京へ。一旦、帰宅して自転車を下ろした後、レンタカーを返しに吉祥寺へ。レンタカーも無事で何より。(@_*)/
それにしても、
往復600km
、
ペーパードライバー
だった
安江くん
、
サポート、どうもありがとうございました。来年は僕がサポートしてもいいですぜ!(^_^ゞ また、
”温泉泊まり付き”
で行きましょう!
参加賞(完走賞?)
2
月
2
2
日
生まれの
”
2
2
2
位”
Tシャツと地酒「男山」
なお、この大会の様子は『サイクルスポーツ7月号』(八重洲出版)に紹介されています。次回は
2000年5月27日
らしい・・・