マエストロは店内に転がっていたフレームに懐かしのサンツアーやカンパの部品で、あっと言う間に組んでくれました（久々のWレバー）。７日には引き取りに行き、早速研究室の中でツール'98 のビデオを観ながら乗る（だが、あまりにも速すぎて、当然ついていけない (爆)）という、ここまではいやに素早い展開でございました。
本番用の自転車もローラー練習用の自転車もそろい、あと揃っていない（？）のは、カラダだけ・・・こればっかりはトレーニングしないことにはどうにもなりません。
悪いことに、
”持久性トレーニング”→かつての”専門”、本も書いてる・・・
”エネルギー補給と給水”→かつての”専門”、本も書いてる・・・
と、過去の”正体”がばれたりすると失敗したときに笑いものになるのは必至・・・という大変な状況（どこがや？）の中、３月中にはローラーに「６回」も乗りました（でも、精々60分間）、ロードは「０」。
おいおい、そんなので大丈夫なのかと４月に入るや心を入れ替え、ローラーを３，４回やってはロードで長距離を、しかもその距離を週毎に増やしていくオーソドックスなものにしたところ（といっても、ローラー「11回」ロード「２回」しかない）、150kmほどは大丈夫ということが判明（でも、まだ”半分”）・・・
と、この４月はなかなか良かったんです。が、がが、しか〜し、５月１日から９日までスペインのバルセロナに出張！ホントに仕事 (^_^ゞ になり、ここに”空白の10日間”ができてしまったのでした。
ううむ、まずいぞ、せっかくのトレーニング効果が消えてしまう、バルセロナでも走らなきゃと一応ジョギングシューズは持っていったものの、ワインにビール、魚介類は美味いわ、シエスタはちゃんととるわ、夜は遅くまで何やかやあるわ（詳細は秘す）・・・で、染まりやすい性格ゆえ、走るわけがなく（かのガウディの聖家族教会の塔は歩いて登りました）、スペインが誇る、ツール５連覇のインデュラインのチーム・ジャージを土産に買って”神頼み”をしたばかりの、トホホな10日間が過ぎてしまったわけであります。
長時間座っていてもお尻が痛くならないような鍛錬（？）を機内で続けつつも、成田が近づくにつれ、さすがに不安が募ってきたので、”う〜む、ポイントは給水・給食である”と飲み、食いのトレーニングを加える一方、苦手の坂（途中に名前の知られた有名な峠だけでも大垂水峠、笹子峠、富士見峠、塩尻峠と４つも、なのに僕は”都民の森”までの坂が登り切れずに引き返したほどの”坂ヘタ”）の攻略法を考えました。
で、出た結論は、”ギアをもっと軽いのにしよう”という、一番お手軽な方法でした。ははは、情けない・・・ (^_^;; けど、見栄も外聞もないというのがエライといえばエライかも・・・
そこで、早速次の日、お土産のジャージ（マエストロの体格用のスペインのチーム・ジャージが見つからなかったので、なぜかアメリカのジャージ）をもって若葉サイクルへ行き、フロントもリアもギアを取り替えてもらいました。これが Dura-Ace だったので、後方指示用のライトと併せて、￥15.8Ｋなり。おやじさんも、”速く走るよりも、完走できなきゃどうしようもないから、そのギアの方がいいんじゃない”と、慰め（？）てくれたものです。
で、３日後（13日）、アドバイスされた通り、自宅→青梅→奥多摩湖→奥多摩周遊道路→武蔵五日市→立川（若葉サイクル）→自宅、という160km くらいのルートで試走するべく、５時に家を出ました。２週間ほどほとんど走ってないうえに、前夜、仕事で遅かったし、あまり食べていないという不安要因もあったものの、まあ途中で食べればいいかとあまり気にせず（ホントに”専門家”だったのか？？？）、奥多摩駅まではなかなか快調でありました、もっとも、吉野街道のトラック（そんなに早朝から仕事しないでくれ〜）に悩まされて少し気分は滅入っていたのですが。（※余裕度チェック簡便法：自転車および自転車乗りに対する態度によって、その人の人生の過ごし方に関する余裕度が分かる！：を発見！）
あ、ところがところが、奥多摩湖に向かって上り始めた道すがら、脚から力が抜ける、イヤな兆候を感じ始め、”おお、いかん！何か食べなきゃ、エネルギーが枯渇する（専門家らしい用語だにゃあ）”と思った頃にはコンビニはおろか店もなくなり、かなりトホホな状態で、奥多摩周遊道路の10km ほど続く登りに突入してしまったのでした。
専門家として考えれば、トレーニングしていない状態ですでに70kmほど走っているわけですから、筋グリコーゲンがどの程度のレベルなのかは想像できたのですがねえ・・・(-_-〆
5km が過ぎ、登りがきつくなってきた辺りで完全に力がなくなって停止した後、数時間かかってどうやって”都民の森”の食堂に倒れ込んだかは、あまりにも恥ずかしいので省略・・・薄れゆく意識の中で、”そうだ！携帯でタクシーを呼ぼう！あ、だめだ、J-Phone は圏外だ、Docomo にしとけばよかった・・・”なんて訳の分からんことを考えてたりしたんですよね !(>_<)!
しかし、まあ、この出来事はかなりショック（あとで思えば、身体的にも精神的にも”ショック療法”の効果があったんですが）で、”うう、マズイ！これはホントに完走できないかもしれん。でも、あと１週間ちょっとしかないし・・・うう、どうしよう・・・これから猛練習しても疲れを残すだけだし、第一、猛練習なんてしたことないし・・・”
と、とりあえず”禁酒”し、ハンドルをブル・ホーンからアナトミック・タイプのオーソドックスなものに交換。15日から19日まで毎日30分から１時間ほどローラーかロードで少しだけ走り、20日に60km ゆっくり調整し、21日を完全休養し、当日を迎えたわけです（これをテーパリングとピーキングという、ヘッヘッヘ）。
こんなんで大丈夫なのかなと思いつつ、”生理学的には酸化系酵素の活性はある程度高まる計算だし、糖質の摂取も意識的に増やしているからグリコーゲン・ローディングもうまくいってるはずだし・・・俺は”元”専門家・・・”と自分に言い聞かせてはみたものの、”登り坂の恐怖”は消えないし、おまけに所詮は”元”ですからねえ、トホホ・・・
登り坂に加えて、もう１つ、懸案がありました。それは
スタート→どうやって高尾山口まで行くか
途中棄権→どうやって糸魚川まで行くか
完 走 →どうやって糸魚川から帰ってくるか
一番いいのは、僕のくるまを誰かに糸魚川まで運転してもらい、翌日それで帰ってくるというものでしたが、”誰か”って、誰？？というところでストップしたままの状況が続いていました。何せ、300km ですから、くるまで行くのもかなり大変ですものねえ。
そんな折り、飛んで火に入るというか (^_^;; 安江くんからメールが届き、彼が”優良ドライバー”となったことを知りました（僕もオヤジも”優良ドライバー”なので、安江くんが言うように10年間くるまが買えないとよく我慢しましたねと公安委員会がくれるものとは露知らず→詳しくはこちら）。
そこで早速、”それはオメデタイから、糸魚川までドライブしない？”と誘ったわけです、ウッシッシ（そのとき彼が糸魚川が何県かを把握していないとは知らず）。
彼は最初、なにやら僕が運転して行くものと思ったらしく（それじゃあ、誰が自転車に乗るの？）、自分が運転することが分かってからようやくペーパードライバーであることを白状しましたが、”免許持ってるんだから運転できるでしょ（せっかく見つかった運転手をここで逃してなるものか）”とおだて、何とかサポートしてくれることになった訳です（このとき彼がまだ糸魚川を地理的に把握していないとは知らず）。
これで準備万端と思ったものの、不安もありました。というのは、僕のクルマは副変速機のついた実質10速のマニュアル車で、キビキビ走ると評判がいいのですが、ペーパードライバーには荷が重過ぎるのも事実ですし、何より糸魚川手前の姫川沿いの曲がりくねった道をギア・シフトを繰り返しながらペーパードライバーが走れるとは、冷静に考えなくても、思えなかったからです。しかし、オートマ車を誰かに借りようにも、どの友人もペーパードライバーには貸してくれそうにありません。
ううむと直前まで迷ったあげく、スタート前夜、安江くんを連れてレンタカーを借りに行ったのでした（”ぶつけてもいいようなライトバンね”と注文して）。その帰り道、ママチャリより遅いかもしれないような速度で彼が運転練習するクルマの助手席でドキドキしながら、”借りてよかったあ！”と、僕はしみじみ思いました。(*_*)/ （しかし、このときもまさか自転車の方がホントに糸魚川に先に着くとは夢にも思わず）
で、せっかく、苦心して”固定”したのに、接触が悪かったのか、必要なときにはほとんど点かず、おまけに後方指示用点滅灯も路面の荒れによる振動のせいかどこかで落っことしてしまい、肝心の姫川沿いのトンネルの中は前も後ろも真っ暗という、悲惨なことになってしまうとは、このときこれっぽっちも思っていませんでした。
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